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所沢3種目耐久レースを終えて。

2015年7月11日、12日 第8回所沢3種目耐久レース
一種め : 5km 17分10秒 (1位)
二種め : 42.195km 3時間15分26秒 (3位)
三種め : 8時間走 85.618km (1位)
結果 : 総合優勝(86pt)

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この週末は所沢航空公園にて開催された所沢3種目耐久レースへ出場してきました。
初出場となる大会でしたが、国内では珍しいポイント制のレースということで結果を残すには走力以上に戦略が重要だと感じ、目標の総合優勝へ向けた作戦を立てて臨みました。
今後、このレースで表彰台を目標に挑まれる方にとっても参考になれば…と思い、この2日間で僕が行なったレース戦略をまとめておきたいと思います。

所沢3種目耐久レースとは!?

「所沢3耐」は1日目の朝9時から5km、朝10時からフルマラソン。2日間の朝8時から8時間走を行ない、各種目の順位ごとに割り振られたポイントの合計によって総合順位が決まります。

※各種目毎の10位までのポイント表  (合計得点が同点の場合は1位の種目が多い選手の勝ちとなる)

さて、この最初の5km。全力を尽くせば間違いなくこの種目内では相当良い順位が見込めます。が、その1時間後にはすぐに炎天下でのフルマラソン。そして翌日は8時間走が待っています。

う〜ん。ウルトラマラソンの大会運営を主体とするスポーツエイドジャパンがなぜあえて3種目の中に5km走を入れたのか?最初は全く意味がわかりませんでした。

実際に5kmの順位毎獲得ポイントは他の2種目に比べて大分低く設定されています。そして、間違いなく最初に5kmで全力を出し切ってしまうと酸素負債の状態で迎える1時間後のフルマラソンや翌日の8時間走でとんでもない地獄を味わうことは目に見えています。

僕の場合は目的が総合優勝だったので、どの種目にチカラを割くのが最も表彰台の高い位置に立てるだろうか?と、得点表をもとに勝ちパターンを整理してみました。

<フルと8時間走で全力を尽くす場合、5kmはどの位の順位までなら優勝できるのか?>
(ライバル選手は常に自分の次に良い順位をとると仮定)

ライバルの得点 : 5km1位(20pt)+フル2位(27pt)+8時間走2位(34pt)=81pt
自分の得点 : フル1位(32pt)+8時間走1位(40pt) =72pt 

さて、72pt+5kmのpt > 81pt は?

と、計算してゆくとフル、8時間走で両方とも1位が獲れるなら5kmはなんと7位まで順位を落としていても総合優勝が可能だということがわかりました。

過去のデータによると5kmの1位がおよそ17分半であるのに対して7位だと20分ほど。例年のフルマラソン1位のタイムが2時間50分位なので5kmで7位を狙うならおよそフルマラソンと同じペースでOKということになります。当然、酸素消費は圧倒的に低いため相当 体力を温存して残りの2種目に臨むことが出来ます。

事前のシュミレーションでは得点配分の低い5kmを温存しておき、他の2種目に集中するパターンは総合優勝を狙う上でかなり現実的に思えました。

互角以上の走力を持つライバル選手に勝つための駆け引き

上記の「5kmは温存!フルと8時間走で勝負」作戦を想定し、いざ大会会場へ訪れた所で想定外の情報を手に入れました。

当日配布される参加者リストには今回招待選手として出場する昨年の優勝者の記録が記載されているのですが、昨年大会を優勝された浦城選手は全ての種目で1位をとっての総合優勝とのこと。昨年も猛暑だったにも関わらずこの圧倒的結果、強ぇ。

当然、全ての種目を100%で走ったワケではないでしょうが、このレースの特質や駆け引きを知っているからこそ、2位以下の選手に隙を与えずこの結果を残せたのだと僕などは想像してしまうのです。

また、このような選手がいることで事前に立てておいた僕の作戦の弱点にも改めて気づきました。

実はこの『所沢3耐』。5kmとフルマラソンを共に1位で走った選手がいた場合、仮に最終日の8時間走で1位を獲れたとしても総合順位で負けてしまうのです。つまり最初の5kmを温存し、万が一 その後のフルで1位が取れないと僕の総合優勝は初日でなくなってしまいます。

そこで急きょ最初の5km走では事前の作戦は捨て、咄嗟に思いついた別の戦略で臨むことにしました。

初日午前9時。スタートの号砲から一斉にスピード持久力の高そうなウルトラランナー達が飛び出してゆきます。レースが3kmを経過し、先頭集団が落ち着いてくるとやはり昨年優勝者の浦城選手が頭一つ抜け出して先頭に立ちました。きっと今回も全力を出し切らない走りで温存しながらもまずは5kmを1位で終える想定なのだろう。集団が5mは後ろにいる状態。あえて最初の種目からスパートをかける選手なんて後の種目のことを思えば普通に考えて、いるハズがない。
だからこそラスト200mでの全力のスパートです。結果、浦城選手と4秒の僅差で1位を獲得。

さて、続く午前10時からのフルマラソン。僕が5kmで1位を獲ったことで前述の説明と逆の状況が生まれます。もし僕がフルでも1位をとることがあれば浦城選手にとっては総合優勝の可能性は初日でなくなってしまうという状況です。

そして僕の立場で見ると、仮に浦城選手がフルを1位で終えたとしても最終種目の8時間走で僕が1位を獲れるならこのフルマラソンは3位以内の得点が獲得できれば十分、総合優勝は可能となります。

繰り返しになりますがこのレースは順位によってのみ獲得できるポイントが決まります。つまりこの種目で必ず1位を獲らなければならない浦城選手は絶対に2位の選手のタイムを上回らなければなりませんが、3位以内の得点さえとっておけばよい僕は1位、2位の選手と競り合う必要はまるでなく、4位の選手に抜かれさえしなければ良いのです。

結果、5kmのラスト200mを全力でスパートした対価としてフルマラソンでは、体力を温存して初日を終わらせることが出来ました。

勝敗のポイントは結局は8時間走

そして迎えた翌日午前8時からの8時間走。得点表を改めて見直すと分かりますが、この『所沢3耐』で総合優勝を狙うには前の2種目両方で1位を獲れないのなら、最も得点配分の高い3種めの8時間走を必ず1位で終わらせなければなりません。

ここでまた想定外のことが起こりました。確かに初日の5kmとフルマラソンの両方を速いタイムで走り抜けた浦城選手は疲労の影響が表れているように感じました。しかし、全くノーマークだった昨年準優勝者の今井選手がレース序盤から独走状態。3時間半が経過した時点で約4kmの差をつけられてしまいました。

今井選手は初日のフルを2位で終えています。5kmの順位を実は僕は確認していなかったのですが、最終日の8時間走では1位と2位の獲得ポイントに8pt差がつくのでフルのポイント差も考えると今井選手が初日の5kmを6位以内で終えているのなら逆転優勝されてしまいます。

5kmで6位以内…
うん。この人なら間違いなく入ってるな。ヤバイぞ。

そこからはチャンスが来るまでペースを落とさないよう淡々と走り続ける粘り強さが求められましたが、炎天下のなか決して無理をしなかったことで後半の失速もなく、初日に体力温存できていた効果もあったのだと思いますが何とかラスト30分で今井選手を追い抜くことができ、ほんの数分差で勝つことが出来ました。

そう、やはり結局は『所沢3耐』はラストの8時間走で勝てるかどうか?なのだと思います。

おわりに。

と、このような作戦のもと温存するところは温存し、最後の8時間走で全力を尽くしてなんとか念願の総合優勝を果たすことができたのですが、こういったレース戦略は賛否両論ではないかと思っています。

特に今回の『所沢3耐』や単一の種目として行われた『所沢8時間耐久レース』へ出場された方々の全員が必ずしも順位を目標としていたわけではなく、限界へ挑戦する中での自己の探究であったり仲間との冒険といった目的で参加された方も多かったことと思います。

普段ランニングコーチ、ストレッチトレーナーとしてお会いする方々へ僕は絶対に自分なりの考え方や価値観を押し付けたり推奨したりはしませんが、一人のランナーに戻ったときやはりこういった戦略を駆使して競いあうことにも僕はレースならではの楽しさを感じてしまうのです。

そして、今日は最後に書き残しておきたいこと。
『総合優勝』とは言っても、それは上記のような作戦ありきで手に入れられたものに過ぎず、きっとこの記事の冒頭に記載した僕の種目毎の記録をみた方の中には(正直、大したことないな)と感じられた方もいるんじゃないかと思います。
そんな方へぜひ提案ですが、来年の『所沢3耐』へぜひ出場してみませんか!?
来年は僕が招待選手として出場します。もちろん僕は上記のような勝つための戦略ありきで自身の走力不足を補い、2連覇を目指します。それを単純に総合的な走力の高いランナーに阻止されるのか?さらに上をゆくレース戦略に潰されるのか?は分かりませんが、僕は“選手”としてレースへ出場するのなら、格闘技やボードゲームのように対戦相手と向きあって闘いたい。

そんなことを想ってしまうのです。

今回も2日間を競いあった浦城選手や今井選手、そしてむかし24時間走競技の日本代表の仲間でもあった本田選手、安孫子選手と走ることができ、最高のレース経験を積むことができたと思っています。

来年はどんなランナーと巡りあえるか?

分かりませんが、やはり軟弱な僕を引き上げてくれるのは競いあえるライバルの存在です。次の「所沢3耐」まで約一年 お互い切磋琢磨してゾクゾクするようなレースを競いあいましょう(^^)

ウルトラランナー 井上しんご。

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