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ひたすら長い距離を走るということ。

ランニングでの挑戦にも様々なベクトルがあります。たとえば「どれだけ速く走れるだろうか?」という自分への問いかけ。この場合には決められた距離でのタイム短縮が目標となりますが、はじめてハーフマラソンやフルマラソンへ出場される方の多くは「自分はどれだけ長く走れるだろう?」という探究心からレース完走を目指したトレーニングをされていることと思います。

ウルトラマラソンの分野では認知度の高い100km走競技の他にも、国際ウルトラランナーズ協会の公認種目として6時間、12時間、48時間、6日間でどれだけ長く走れるかを競う『時間走競技』というカテゴリーがありますが、タイムではなく距離が記録となる時間走の分野こそ「ヒトはどれだけ長く走れるだろうか?」に対する根源的な挑戦ではないでしょうか?

今日はそんな人類の可能性を開拓する人たちのロマンについて書いてゆこうと思います。

“すごい距離への挑戦”を魅せてくれるタレントランナーの存在

走歴の長い市民ランナーならばたとえ走ったことはなくてもウルトラマラソンという分野を知っているかもしれませんが、ランニングと縁のない方々にとってはそれだけの距離を走る人たちは憧れの対象というよりは変な人の対象に感じてしまうのが正直な反応だと思います。

今、ウルトラマラソンをされている方も自分がいつか100kmも走れるなんて、子供の頃には想像もしていなかったのではないでしょうか。

しかし一方で、日本には30年前から超長距離マラソンの感動をお茶の間に浸透させる番組があります。もはや毎年恒例になった24時間テレビでの芸能人によるマラソンチャレンジ。

挑戦するタレントさんの年齢や運動歴にあわせて毎年内容は異なりますが24時間という番組の放送時間のなかで最も長く走れるであろう距離への挑戦という意味では日本で唯一、テレビ放送を通して見ることのできるウルトラマラソンの時間走です。

もちろん、日本テレビの企画として行なわれているこの挑戦は公認の競技ではありませんが、記録以上に記憶に残るという意味で日本のウルトラマラソンの裾野を拡げていると僕は思います。なぜなら僕自身が子供の頃に観た24時間テレビでの間寛平さんに少なからず影響を受けたランナーのひとりだからです。

今年のチャレンジャーは映画でウルトラマンゼロの役を演じたこともあるDAIGOさんなので子供達が感じることもひとしおでしょう。番組に感化された一握りの子供たちがもしかしたら10年後、20年後にはウルトラマンならぬウルトラマラソンマンとして世界の舞台を駆け抜ける日が来るかもしれません。

選手層の移り変わり

競技としてのウルトラマラソンはプロ化の難しい分野だと思っています。ツールドフランスなどロングディスタンスの自転車競技が盛んなヨーロッパでは、距離の長いレースに対する敬意や認知度が日本より高く、メディア露出が多い選手なら企業のスポンサードを受けられることもあるかもしれません。また1928年に「トランスコンチネンタルフットレース」という優勝賞金2万5000ドルのアメリカ大陸横断レースが行なわれたこともあるそうですが、今は高額の賞金レースは廃れレースの勝者や完走者に与えられるものが「栄誉のみ」ということが逆にロマンがないなと僕などは感じてしまうのです。

そんな中、年に一回神宮外苑で行なわれる24時間走競技の日本代表選考会は運営サイドの努力や出場者の奮闘により好記録が狙える大会として国際的にも高評価を受けていますがここ数年で日本国内では世界の舞台を狙うトップ選手層がだいぶ変化してきました。

僕が注目しているのは若さよりも経験がものを言うと言われてきた超長距離の世界へ24歳の若さで参入し、僅か2戦目で世界ランキング6位の記録を叩き出した小谷修平選手。彼自身が今年12月の神宮外苑で改めて上位を狙うための努力をしていますが、同時にウルトラマラソンから得た経験と自身の知識を他のランナーへ伝えてゆく活動に目を向けていることにも感銘を受けます。

「どれだけ長く走れるか」を追求し続ける時間走競技では走りの徹底した効率化が求められますが、競技者の経験の蓄積はふと立ち止まって周りを見渡したとき、アドバイザーとして多くのランナーの役に立てる要素を秘めています。月刊ランナーズを発行する株式会社アールビーズでは昨年より市民ランナーによる市民ランナー育成制度としてRUNNERS MYSTAR認定がスタートしましたが、世界の舞台をめざすウルトラランナーこそこれらの制度を活用しながら[競技力の向上→ランニングクラブの運営→自身の活動資金の捻出]というビジネスモデルをつくってゆけたら良いのではないかと思います。

また、僕が感銘を受けるもう一人のウルトラランナーは過疎化の進んだ長野県売木村の復興のため、村の看板を背負って時間走競技に参入した経験を持つ重見高好選手。元実業団選手がウルトラマラソンの世界へ参入することは稀なケースですが、むしろマラソンランナーとして引退に差し掛かる30代の実業団選手こそ、ウルトラマラソンのアスリートとして名乗りを上げるには適齢なのではと感じています。

若さを武器に世界を狙う小谷選手や、元実業団選手の重見選手のような異色のウルトラランナーがどんどん増えてくることで時間走競技は今後より面白くなり、やはり10年、20年経った頃に今の子供たちがプロとしてこの競技を行なえる基盤が出来てくるのではないかと僕などは夢想してしまうのです。

ブログ『大陸を走って横断する僕の話。』について。

最後に自分のことについて少し書きます。小谷選手と同じように20代前半の頃から超ウルトラの世界へチャレンジし続けてきた僕自身もやはり当時は異色のランナーの一人でした。

「若いウチは超ウルトラは成功できない」というベテラン勢からのプレッシャーに対する反骨精神とこんな自分の活動を応援してくれた全国の施設などの子供たちの存在を糧に、どうにか29歳で一度は世界選手権優勝の結果を残すことが出来ましたが、決してその走力は今も維持できている訳ではありません。

また、上記のタイトルで自身のランニング挑戦についてのブログを書き始めたのはサハラ砂漠マラソンに初出場した2006年からですが、9年が経った今もまだ僕はひとつの大陸も走って横断してはいないのです。

しかし紆余曲折はありましたが、やはり僕は今もまだ走り始めた頃に描いたロマンとそれを現実化させる計画のレールにブレることなく生きている自分を再確認しています。

この10年で着実に大陸横断レースの実績を築いている友人の瀬ノ尾敬済選手と僕が共に描いた夢は、前述の1928年に行なわれた「トランスコンチネンタルフットレース」のような規模のレースの復活です。IT化の進歩し続けてゆく現代に大陸横断賞金レースという超原始的なアメリカンドリームが復活することにゾクゾクするようなロマンを感じながら僕たちはそれぞれの道のりを走ってきました。

小説「遥かなるセントラルパーク」や漫画「スティールボールラン」のような、一攫千金を求めたランナーが地球を舞台に競いあえる時代はどうしたら作れるだろう?瀬ノ尾選手が実践している手段は自らがその規模のレース出場チャンスを逃さないよう情報網を巡らせ、挑戦し続けてゆくことでしたが僕が狙ってきた手段はそのための枠組みを模索してゆくことでした。

当然ですが、僕や瀬ノ尾選手個人にはそのようなレースを主催運営する力はありません。ただ走ることしか出来ない僕たちに唯一出来ることは、走ることを武器に世間へこれらの競技をより深く知ってもらうことだと思っています。僕が20代で24時間走に集中したこともその一つでした。だから、もしも僕が2010年に24時間走でのタイトルを獲得したことが少なからず小谷選手や重見選手のこの競技への参入に影響があったのならこんなに嬉しいことはありません。

ランニングブームは年々拡大していますが、このブームの先に待っているものは何でしょうか?

現時点で、すでにマラソン大会はエントリー合戦による需要の飽和状態。2014年度のランナーズ世論調査によると日本人のフルマラソンの平均タイムはこの10年間で4時間32分にまで伸びているそうです。フルマラソンでは物足りなくなった市民ランナーが向かう先は果たしてタイムの短縮でしょうか?もしも矛先が距離の向上ならば10年後、20年後には100kmウルトラマラソンや時間走競技さえ需要で満たされてしまう日がくるかもしれません。

そしてもしも長く走るということが今よりももっと当たり前になる時代が来たとしたら、その最終地点にアメリカ大陸をはじめとした世界5大陸全てを横断する賞金レースがあったっていいんじゃないかな。面白いんじゃないかな。そう、多くの人たちが感じられたとき、それらのレースは復活するんだと僕は信じているのです。

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【12月19-20日 神宮外苑24時間チャレンジで好記録をめざす方必見】

東京都内にて小谷周平選手の個人指導が受けられるホロスRC ホームページはコチラ⬇︎

http://holosrc.com

関ジャニ∞の応援ドキュメント「明日はどっちだ」でも取り上げられた重見高好選手による高地合宿指導が受けられる走る村うるぎプロジェクトはコチラ⬇︎

http://www.urugi.jp/shigemi/

【総合優勝をめざして現在、フランス一周2800kmへ挑戦中!】

ウルトラランナー瀬ノ尾敬済がいま出場しているツールドフランスフットレース大会ホームページはコチラ⬇︎

http://www.skyrun.org

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